◆家づくりのコラム:畳について
畳の知識と選び方のお話し
最近の家づくりでは、畳のあるお部屋をつくらないことも多くなりました。
それでも、家づくりの際に、「注文住宅を建てるなら和室は作っておきたい!」「せめて畳コーナーほしい!」という要望は多く、畳は根強い人気があります。
ひとくちに畳と言っても、いろいろな種類があり、選ぶ際はおさえておきたい知識もいくつかあります。
今回は、基本的な畳の用語や、住宅に使われる畳の種類と選び方についてお伝えします。
知っておきたい畳の基本用語
畳を使うのなら、どんな畳を使うか、畳の仕様について検討する必要があります。
ここでは、知っておきたい畳の基本的な用語について解説します。
■ 畳表(たたみおもて)
畳の表面の仕上げのことです。
イグサと呼ばれる植物や和紙や化学繊維を編んで製織され、産地や編み方、製造方法などによって特選品から普及品までグレード分けされています。
■ 畳縁(たたみへり)
畳の長辺に縁取られる布のことです。
色や柄など豊富な種類から選ぶことができます。
畳縁のない畳(琉球畳)もあり、空間がすっきりとモダンな印象になるため、人気を集めています。
■ 畳床(たたみとこ)
畳表を縫い付ける土台のことです。
ワラなどの天然素材や、インシュレンボードとポリエチレンフォームでできた化学床(建材床)があります。
ワラで化学床をはさむようにして生成されたハイブリットな畳床もあります。
■ イグサ
畳表(たたみおもて)の材料となる多年性の植物の名称です。
畳表となるために刈り取り、泥染め、乾燥の過程を経ます。
■ 畳の産地(主に国産・中国産)
畳表に使われるイグサの産地のことです。
国産のイグサの方が一般的に高級品として扱われ、耐久性も高く、長年使い続けることができます。
中国産のイグサにも「高級品」と「普及品」があり、「高級品」は国産に劣らない品質でコストパフォーマンスがいいです。
「普及品」は国産に比べて表面がもろく、弾力性がなく、色味にムラがあるのが特徴です。アパートなどの賃貸住宅におすすめのグレードになります。
畳の基本的な種類
畳にはさまざまな種類があります。
部屋の仕様用途やこだわり、雰囲気に合わせて使い分けることができるよう、基本的な畳の種類を確認しましょう。
■ 縁つき畳
畳の中で、最も一般的で、長手方向に畳縁がある畳です。
畳縁は一般的には布ですが、さまざまな色柄があります。
畳縁によって、部屋の雰囲気を変えることができるため、部屋の雰囲気や好み、使う人の性別などによって使い分けるといいでしょう。
■ 縁なし畳
畳縁がない畳のことで、琉球畳や琉球風畳と呼ばれます。
畳コーナーの畳としても人気で、モダンですっきりとした印象の和室に仕上げることができます。
■ 和紙畳(ダイケン畳)
畳表の素材がイグサではなく和紙でできていて、様々な織り目のパターンや色を選ぶことができます。イグサに比べて変色が少なく、虫に強い特徴があります。
■ 建材畳
耐久性の高い化学繊維を畳表とし、優れた耐久性と豊富なデザインとカラーバリエーションが魅力です。
汚れ等に強いですが、熱には弱い特徴があります。
■ 黄金表
イグサを黄金色に変色させた後に畳表として織り上げる方法製織されます。
■ カラー畳
イグサを色染めした後に織り上げて作られ、いろいろなカラーバリエーションを楽しめる畳です。
「和紙畳」も色柄が豊富ですが、畳表のイグサにこだわりつつ、畳の個性的な色を楽しみたい人におすすめです。
人気にフチなし畳でモダン空間を演出できます♪
畳選びの際に知っておきたい3つのポイント
畳にはいろいろな種類があることをお伝えしましたが、大切なのは、住まいや暮らし方に合った畳を選ぶことです。
畳を選ぶ際に、後悔しないためにおさえておきたい3つのポイントを解説します。
1.部屋のイメージから選ぶ
畳の色や、目の粗さや、畳縁は、空間の雰囲気を左右します。
畳縁があり、畳の色も伝統的なイグサの緑色や黄金色にし、目の詰まった高級畳にすることで、お部屋のイメージは伝統的な格式高いものになります。
畳縁をつけずに、畳のカラーを変えるだけで、カジュアルな空間演出もできます。
つくりたい部屋のイメージに応じて、畳を選びましょう。
2.部屋の用途から選ぶ
部屋の使い方に応じて、畳の選び方も検討するべきです。
客間など、特別な部屋として使う場合、天然素材や高級素材にこだわって畳選びをした方が、香り高く、落ち着いた空間になります。
子ども部屋などの、日常的に使う部屋の場合、清潔を保ちやすく、汚れやこすれに強い化学繊維の方が、長く美観を保てるかもしれません。
その上、掃除もしやすいため、汚れた際のストレスも少ないです。
部屋の用途にあわせて、暮らしやすさをアップさせる畳選びを行えるといいですね。
3.予算に合うものを選ぶ
畳のグレードは、1畳あたり1万円程度の【普及品】、2万円程度の【中級品】、3万円以上する【高級品】というように、表面に使われるイグサの種類と量と長さ、畳床の種類などによって分けられています。
掛けられる予算はもちろん、部屋の用途、メンテナンスができる頻度に応じて畳選びをしましょう。
中級品以上にした方が、メンテナンスしなくても長く美観を保つことができ、普及品を小まめにメンテナンスして美観を保つよりも、リーズナブルになることがあります。
畳の基本的な用語と種類、選び方のポイントについてお伝えしました。
畳の香りと肌ざわりは、人の心を落ち着かせる効果があり、調湿性によって、室内の環境を気持ちのいいものにしてくれます。
家づくりに畳を取り入れる際は、部屋のイメージや、用途、予算に合わせて、無理なく快適に使えるものを選べるといいですね。
◆ 執筆者プロフィール ◆

ー 佐藤結伽 ー
2級建築士。
2人娘の育児にも奮闘中。
最近、自邸の建設をし
注文住宅を購入する事の素晴らしさと、大変さを身をもって経験した。
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