◆家づくりのコラム:屋根について
住まいの屋根は、毎日雨や風や日差しにさらされ、過酷な外の環境から私たちを守ってくれている部分です。
その上で、使われる材質や形状もさまざまで、住まいの快適さや印象を大きく左右する大切な部分でもあります。
注文住宅設計の現場では、屋根の形状は意外と消極的で、間取りに従って決定してしまうことも多く、屋根の形状は設計者に任せきりということも多いのが現状です。
住まいの機能性や、デザインを大きく左右する部分ですから、こだわって検討したい部分でもあります。
任せきりだとしても、材質やどのような形状があるか、ということは知っておきたいですね。
今回は、屋根の基本的種類と、材質、耐用年数などについて解説します。
住まいのデザインや予算に合わせて、お好みの屋根を選ぶために、ぜひ参考にしてください。
屋根形状の基本!
住宅に使われる屋根の基本的な、切妻(きりづま)屋根、寄棟(よせむね)屋根、入母屋(いりもや)屋根、片流れ屋根、陸(ろく)屋根です。
5つの形状の特徴について解説します。
▤ 切妻屋根
- 屋根の最頂部分(棟)から2面で下方の梁にむけて張った形状の屋根
- 棟は最頂部のみに配置される
- 構造がとてもシンプルなため丈夫で雨漏りしにくい
- コストは比較的安価
▩ 寄棟屋根
・屋根の最頂部分から3面以上に屋根を分けた形状の屋根
・最頂部の「大棟」から「下り棟」と呼ばれる3つ以上の棟が下っていく形で構成される
・最頂部分に大棟を配置せず、下り棟を合わせた形状の「方形(ほうぎょう)」という形状もある
・屋根に存在感を与えるデザイン
・住宅に重厚感を与える
・構造が少々複雑で、比較的コストが掛かる
▦ 入母屋屋根
・屋根の最頂部分が切妻形状で、その下から寄棟屋根の形状をした屋根
・伝統的な和風住宅で使われる形状
・瓦葺きと組み合わせると、和風の高級感がある住宅になる
・棟が多く、構造がとても複雑
・雨漏りに注意して施工する必要がある
・施工には技術力が必要
・コストがかかる
▧ 片流れ屋根
・最頂部から1方向に流れる屋根
・1枚屋根のとてもシンプルな構造
・雨が集中して流れるので、雨の流れ方に配慮した計画が必要
・現代的でスタイリッシュな住宅になる
・低コストでできる
▣ 陸屋根
・水平な屋根
・屋根を屋上として活用できるメリットがある
・凹凸が少なくかるため、屋根が飛ばされるなど風による被害を受けにくくなる
・雨水や雪が流れにくいため、防水の施工に注意が必要
屋根の素材と耐用年数
屋根の仕上げ材に用いられる、基本的な屋根材と特徴、耐用年数やメンテナンスの目安時期を確認しましょう。
スレート
〇 天然スレート
耐用年数:100年以上 メンテナンス:30年程度で下地の補修や葺き直し
- 粘板岩を薄い板状に加工した建築材のこと
- 黒みがかった青色
- 高級感と重厚感がある
- 重い
- 高価
- 日本ではあまり普及していない
〇 化粧スレート
耐用年数:10~30年 メンテナンス:7~10年で塗装等
- セメントに繊維素材を混ぜ、雨水板状に加工した建築材のこと
- 商品のバリエーションが豊富
- 有名メーカーの商品名から、コロニアル・カラーベストとも呼ばれることもある
- 瓦よりも軽量
- 本の住宅でもっとも普及している
日本瓦
〇 釉薬瓦
耐用年数:50年以上 メンテナンス:30年程度で下地の補修や葺き直し
- 粘土を成型し、乾燥させた後で釉薬をかけて高温で焼き上げて作られる
- 色の種類が豊富
- 重い
- 高級感と重厚感がある
- 経年劣化や変色がほとんどない
〇 無釉瓦
耐用年数:30~50年 メテナンス:30年程度で下地の補修や葺き直し
- 焼き上げる前に釉を使わずつくられる
- いぶし瓦などの種類がある
- 重い
- 高級感と重厚感がある
- 年数が経つにつれ、味わい深い色の変化を楽しめる
〇 セメント瓦
耐用年数:30~40年 メンテナンス:10~15年で塗装
- セメントを主材料として、成型、塗装してつくられる
- 色のバリエーションが豊富
- 形状のバリエーションが豊富
- 粘土瓦と比べて安価
- 重い
- 瓦であるが、防水や美観維持のため塗装メンテナンスが必要
〇 ガルバリウム鋼板
耐用年数:30~40年
- アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%から成るアルミ亜鉛合金めっき鋼板のこと
- 従来の鋼板より優れた耐久性を持つ
- 軽量
- シンプルでモダンなすっきりとしたデザイン
- 色のバリエーションが豊富
- 緩い勾配にも対応
- 縦ハゼ葺きという工法で施工されるのが一般的
〇 銅葺き
耐用年数:50年以上 メンテナンス:黒や茶色の錆びを発見次第補修
- 耐久性にとても優れる
- 伸縮性、加工性に優れる
- 経年によって青銅への変色を楽しめる
- 軽量
- 薄い素材ではあるが、重厚感がある
- とても高価
スタイリッシュなデザインにもマッチするガルバリウム鋼板の屋根
住宅に用いられる基本的な屋根の形状と、屋根材それぞれの特徴についてお伝えしました。
屋根材を選ぶ際は、カタログだけでなく、現物を確認しましょう。
特徴や質感、デザインや価格面などを十分理解した上で、屋根の形状や屋根材の長所を最大に活かせるような計画ができるといいですね。
◆ 規格住宅ブランド「コノミハウス」についてのお知らせ
現在北村住建では、建築家と造る次世代規格住宅ブランド「コノミハウス」を開始しました。
これまでの実績を踏まえ、デザイン住宅や高級住宅のエッセンスをふんだんに取り入れた、拘りの規格住宅となっています。
今回コラムでご紹介した屋根に関しても、標準仕様でガルバリウム鋼板を使用しており、モダンなデザインにマッチする仕様となっております。
よくある建て売り住宅では満足できない方や、ご予算に限りがあるがデザインにも拘りたい方にピッタリの内容となっていますので、マイホームをご検討のお客様は是非一度ホームページをご覧ください。
▶ 東京のデザイン住宅「コノミハウス」オフィシャルウェブサイトはこちらから
◆ 執筆者プロフィール ◆

ー 佐藤結伽 ー
2級建築士。
2人娘の育児にも奮闘中。
最近、自邸の建設をし
注文住宅を購入する事の素晴らしさと、大変さを身をもって経験した。