◆家づくりのコラム:シャッター・雨戸について
住宅のシャッターと雨戸についてのお話し
不審者や台風などの災害から、大切な家と家族を守るためには、住まいの安全対策が欠かせません。
窓などの開口部は、不審者の侵入口になりやすく、風邪の強い日は破損する恐れがある部分です。
そんな住まいの弱点とも言える開口部を守るのが、シャッターや雨戸です。
ただ開口部を覆うだけではなく、開口部を守りつつ機能性を高めるためのいろいろな種類がありますので、把握して、その部屋に適したものを選ぶことが大切です。
今回は、シャッターや雨戸の基本的な役割や、一般的に住宅に使われるシャッターの種類と選び方についてお伝えします。
シャッターや雨戸の役割は?
シャッターや雨戸は、基本的に窓などの開口部と住まい守る役割があります。
たとえば、次のようなシーンで力を発揮します。
- 台風や強風の際に窓の破損を防ぐ
- 近隣の火災の熱による窓の破損を防ぐ
- 窓の破壊や、侵入者を防ぐ
- 外部からの視線や、夜室内の光が漏れることを防ぎ、プライバシーを守る
- 日差しを除ける
- 断熱性があり室内の気温を一定に保つ
- 外部からの騒音や、室内の音漏れを防ぐ
窓などの開口部は、明かりや外気を取り入れるために欠かせませんが、侵入者に狙われやすく、雨や風のダメージを受けやすい部分です。
また、壁に比べて断熱性も劣りますので、夏の暑さ、冬の寒さを室内に取り込みやすい部分でもあります。
家の弱点とも言えますので、シャッターや雨戸で適宜保護して、安全な住まいづくりをしましょう。
住宅に使われるシャッターや雨戸の種類
一般的な住宅に使われる、シャッターと雨戸の種類を紹介します。
■ 単板雨戸
窓の外に敷居と鴨居を設置し、アルミ製やスチール製の板を横にスライドして使います。
戸袋という雨戸の収納スペースとセットで設置されることが多いです。
シャッターに比べて安価ですが、デザイン性、操作の不便さなどから近年の設置件数は少なくなっています。
和風の外観の住まいの場合では、コーディネートが合うため、根強い人気があります。
■ スリット雨戸
雨戸の板にスリットが設けられ、雨戸を閉めても通風や採光を確保できるタイプです。
雨戸一枚単位で導入できるため、スリットタイプのシャッターよりも比較的安価で取り入れられます。
日の光を気持ちよく室内に入れることができますので、防犯上網戸のまま過ごすのが心配な寝室に、特におすすめです。
■ 折れ戸タイプ雨戸
外に向かって半分に折れながら開くタイプの雨戸です。
価格は比較的高価ですが、戸袋を設置する必要がなく、開け放った際にデザインのアクセントになります。洋風の住宅に似合います。
洋風住宅の小窓に設置すると、洋館のような雰囲気が出るアイテムです。
■ 手動シャッター
手動で上下に操作し、開け閉めするタイプのシャッターです。
電動タイプに比べて安価で、アルミ製やスチール製などの軽い素材の場合、少しの力で操作をすることができます。
ただし、伸び上がる動作や、屈む動作に不自由がある人や、大きい窓の場合、操作が難しく感じるかもしれません。
手動の場合、腰窓や小窓への設置がおすすめです。
■ 電動シャッター
リモコン操作で、電動で開閉するシャッターです。
手動タイプに比べて導入には2倍以上のコストが掛かりますが、足腰が不自由な人や、力の弱い人、毎日の開け閉めが面倒な人、大きい窓の場合などでも簡単に開け閉めの動作をすることができます。
予算に余裕があれば、全てのシャッターへの導入がおすすめです。
■ シャッター クローズタイプ
閉じることで、完全に外からの光をシャットアウトするタイプのシャッターです。
断熱性、防音性、遮光性に優れます。
また、外からの開閉が難しく、室内の音や光も漏れ出ないため、防犯性にも優れます。
普通のクローズタイプより少し高価な、耐風タイプもあります。
耐風タイプは、強風により破壊されやすい部分が強化され、シャッターのバタつきを抑えるつくりになっています。
クローズタイプは、通気性がなく、光を通さないため、明り取りの窓がない場合は昼も夜もわからないほど真っ暗になります。
■ シャッター スリットタイプ
シャッターの一部や、全体にスリットが入っているため、シャッターを閉じても通風や採光を確保することができます。
クローズタイプのシャッターに比べ高価で、断熱性や防音性や遮光性は劣ります。
スリットがあることで、朝日を取入れることや、網戸のままでも安心して過ごすことができますので、寝室などへの設置がおすすめです。
■ シャッター ブラインドタイプ
シャッター自体がスラットと呼ばれる一枚一枚の羽で構成されているタイプです。
ブラインドのようにスラットの角度を操作して、通風や採光を調整することができます。
とても高価ですが、室内にブラインドを設置するよりも、効果的に日射を遮り、面格子のような役割もあるため、防犯対策にもなる一石二鳥の製品です。
目隠しをしながら通風を確保したい水まわりの窓や、西日の差し込む窓など、室内の空調を快適に保ちたい場所の設置がおすすめです。
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シャッターや雨戸の選び方 3つのポイント
シャッターや雨戸を選ぶ際、知っておきたいポイントを解説します。
1.素材で選ぶ
住宅用のシャッターや雨戸は、スタンダードな素材としてスチールが用いられます。
スチールは、軽く、強度がありますが、錆びやすいため、外壁塗装と同じタイミングでメンテナンスが必要になります
スチール製に比べて高価なのが、アルミ製の製品です。
スチール製同様に軽く、強度と防火性に優れます。その上サビにも強いというメリットがあります。
2.予算と機能性で選ぶ
スリットタイプやブラインドタイプや電動などの機能性の優れた製品は、取り入れることでお部屋の快適性をアップさせてくれるでしょう。
しかし、手動のクローズタイプに比べてかなり高価なため、全ての窓に導入すると予算が膨れ上がります。
予算内におさまるように、窓のひとつひとつについて、次の点を考えて計画しましょう。
- シャッターや雨戸を取り付ける必要があるか?
- 取り付ける場合、なぜ取り付けたいのか?(機能性の高いものにするか検討)
- 長く過ごす部屋か?(機能性の高いものを推奨)
- 足腰が不自由な人や力が弱い人が使う部屋か?(電動を推奨)
シャッターは、ほとんどの窓に取り付けることができますが、小さな窓の場合、わざわざ取り付ける必要がない場合もあります。
高価なスリットタイプは、防犯性を高めつつ網戸でも過ごしたい居室や寝室の窓を優先することがおすすめです。
同じく高価なブラインドタイプは、西日の差し込む部屋や、室温を一定に保ちたい居室への取り付けがおすすめです。
どの窓にどのようなシャッターや雨戸が必要か、よく検討し見極めて、予算内で計画ができるといいですね。
3.色選びについて
シャッターや雨戸にもさまざまなカラーバリエーションがあります。
色は、サッシの色と合わせることが一般的です。
外観のシミュレーションをする際は、シャッターボックスや雨戸の戸袋の色もあわせて検討しましょう。
住宅に使われるシャッターや雨戸の役割と、基本的な種類、選び方のポイントについて解説しました。
シャッターや雨戸は、計画の際、そこまで深く考えず、なんとなく取り付けがちな部分ですが、毎年各地で猛威をふるう台風対策や、防犯面の強化、断熱、プライバシーの確保、採光調整など、いろいろな面で住まいの安全性や快適性を向上させる効果があります。
ぜひひとつひとつの開口部にこだわって、予算の範囲内で適した計画を行ってください。
◆ 執筆者プロフィール ◆

ー 佐藤結伽 ー
2級建築士。
2人娘の育児にも奮闘中。
最近、自邸の建設をし
注文住宅を購入する事の素晴らしさと、大変さを身をもって経験した。
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