◆家づくりのコラム:照明器具について
生活に明かりを灯す 住宅の照明器具のお話し
日が沈んでも快適に生活ができるのは、照明器具のお陰です。
照明器具は、とても大切な住まいの一部ですが、注文住宅の計画で照明器具を選ぶ際には、どのような器具を選んだらいいのか、迷ってしまうものです。
適切な照明器具を選ぶためには、基本的な機能や種類を知ることが大切です。
今回は、照明器具を選ぶ際に知っておきたい基本的な知識と、選び方のポイントをまとめました。
ぜひ照明器具選びの参考にしてください。
照明器具に使われる光源の種類と特徴
住宅の照明器具に使われる光源(ランプ)は、LED照明が最も一般的なものとなりました。
そのほかに、ひと昔前まで主流であった蛍光灯、現在は各メーカー生産を中止しはじめている白熱灯があります。
それぞれの特徴や、メリット、デメリットについて解説します。
光源の種類 | 概要 | メリット | デメリット |
LED照明 | 直流電流で発光する 性質を持った半導体を光らせる仕組みです。 | ・寿命が長い
・省エネ ・有害物質を含まない ・すぐに点灯する ・調光や調色が簡単にできる ・虫を寄せ付けにくい |
・高価
・熱に弱い |
蛍光灯 | 紫外線を発生させ、蛍光管内部の発光物質を光らせることで発光する仕組みです。 | ・寿命が長い
・比較的省エネ
|
・点灯まで時間がかかる
・安定器が必要 ・水銀を使う ・短時間の消灯、点灯に弱い |
白熱灯(クリアランプ、クリプトンランプ、ボールランプ、ハロゲンランプ、レフランプ など) | エジソンによって発明されたランプで、ガラスの中にガスが充填され、細いコイル状の部分に電流を流すことで発光する仕組みです。 | ・安価
・演色性がいい ・調光が簡単にできる ・すぐに点灯する ・短時間の消灯、点灯に強い |
・寿命が短い
・電気代がかかる ・熱をもつ
|
照明器具の種類と特徴
住宅で使われる照明器具の種類と特徴を解説します。
- シーリングライト
天井に引っ掛ける金物を設置し、そこに取り付けて使用するタイプの照明器具です。
1台で広い面積を照らすことができるため、部屋の中心に取り付けて、メイン照明として使われることが一般的です。
シーリングファンや、プロジェクターと一体になった機種など、機能性に優れた器具も登場しています。
- ダウンライト
天井に埋め込んで使われる照明で、天井をすっきりと仕上げることができます。
広い範囲を照らすのか、スポット的に照らすのか、など、光らせ方に応じて、さまざまなタイプがあります。
何台かまとめて取り付けてメイン照明にしたり、単体で補助照明にすることもできます。
- ペンダントライト
天井からペンダントのように吊り下げられたタイプの照明器具です。
シンプルなデザインのものから、シャンデリアと呼ばれる装飾性のあるものまで、インテリアに応じた幅広いデザインがあります。
シンプルなデザインのものは、階段や、食卓に取り付けられるのが一般的ですが、インテリアのワンポイントとして取り付けられることもあります。
シャンデリアなどの装飾性のあるものは、居室や玄関のメイン照明として使われることが一般的です。
- ブラケットライト
壁に取り付けるタイプの照明器具です。
主に補助照明や、階段の照明、廊下の照明、トイレの照明、ポーチライト、浴室の照明などに使われます。
デザインにこだわることで、空間のアクセントになりますが、シンプルなものにすることで、さり気ない照明演出をすることもできます。
計画の際は、人の頭に当たらない高さにするなど、取り付け位置をよく検討する必要があります。
- スポットライト
部分的に照らしたい部分に光を当てるタイプの照明器具です。
補助照明や、演出用の照明として使われます。
- スタンドライト
床や家具に置くタイプの照明器具です。
スイッチでオン・オフを切り替えられるように、配線を行う方法もありますが、コンセント式にして、移動させられるようにしておくことが一般的です。
その方が、模様替えなどに対応できて便利です。
補助照明や、手元照明として用いられます。
- 建築化照明
壁の一部や、天井の一部に照明器具を埋め込み、器具自体を見えなくして、間接的に照らす方法です。
光源が見えなくなることで、視覚的に疲労しにくく、柔らかい雰囲気になります。
計画の際は、熱を持ちにくいLEDランプを使って、仕上げ材の変色や熱による変形や発火などの危険を防ぎ、照明器具のメンテナンスをしやすいように工夫することが大切です。
照明器具の選び方6つのポイント
住宅で照明器具を選ぶ際のポイントとしては、次の6つのことが挙げられます。
- 便利な機能を活用する
- 年齢にあった光源を選ぶ
- 家具の配置を考える
- 部屋の広さに合わせて決める
- デザインにこだわる
- 予算を検討する
順番に詳しく解説します。
1.便利な機能を活用する
最近の照明器具の中には、便利な機能が搭載されたものも多く出回っています。
代表的なものには、次の機能があります。
- 調光機能…光の強さをお好みで調整できる機能です。作業やくつろぎなど、時間帯や動作に合わせて調光することで、気持ちの切り替えやストレスの軽減になります。
- 調色機能…光の色をお好みで調整できる機能です。太陽光に近い色から、赤みのある色まで、時間帯やシーンに合わせて切り替えることで、過ごしやすさが向上します。
- タイマー…照明器具のオン、オフだけでなく、調光、調色時間を設定することで、手元で操作しなくても自動で照明器具が作動してくれる機能です。
- センサー…人が通ることでオン・オフの切り替えを行う人感センサーや、明るさを感知してオン・オフの切り替えを行う明暗センサーなどがあります。
- 消し忘れや、スイッチ部分の衛生面が気になるトイレや、玄関照明、ポーチ照明などに便利です。
- リモコン操作…壁に取り付けられたスイッチだけでなく、リモコンで操作することができる機能です。最近は、スマートフォンから操作できる照明器具も登場しています。
- 寝室や、玄関など、消し忘れやスイッチで操作するのが面倒な場所に役立ちます。
- コントローラー操作…照明器具の光り方をプログラミングすることで、1つのボタン操作で複数の照明器具を一度に調光・調色できる機能です。
- 複数台の照明器具が取り付けられる広い空間や、シーンに合わせて照明を切り替えたい多用途の部屋(リビングなど)に役立ちます。
最近の照明器具は、オン・オフだけではもったいない製品が多く登場しています。
ぜひ、便利な機能を積極的に活用した照明計画を行ってください。
2.年齢にあった光源を選ぶ
人が快適に過ごすための光の強さは、年齢によって異なります。
20代の人が明るいと思える場所は、60代の人にとって薄暗いと感じられることもあるのです。
一般的に、快適に読書をするため明るさは、20代を基準に、40代で1.8倍、50代で2.4倍、60代で3.2倍の強さが必要になると言われています。
照明器具を選ぶ際は、主に生活する人の年齢に合わせた光源を選びましょう。
部屋によって使い分けたり、調光機能を持たせることも快適に過ごすために役立ちます。
3.家具の配置を考える
食卓の上にペンダントライトを設置したり、読書用のスタンドライトを設置する場合など、用途を限定した照明を取り付ける場合は、家具の配置を十分に検討した上で計画しましょう。
模様替えが好きな人は、特に入念に検討するか、用途が限定されるような照明器具は設置しない方が無難です。
ダクトレール(インテリアダクト)で照明器具を移動できるようにしてもいいでしょう。
4.部屋の広さに合わせて決める
部屋を十分に照らす能力がある照明器具を取り付けましょう。
当たり前のことのように感じられますが、住み始めてからの後悔に「意外と暗かった」という意見が多くあります。
LDKや寝室など、メインの部屋は失敗しにくいですが、廊下や玄関、トイレ、洗面室などに多い失敗例です。
照明を選ぶ際は、ライティングプランを作成してもらい、部屋の照らし方のシミュレーションをチェックすることが大切です。
5.デザインにこだわる
照明器具のデザインは、とても幅広く展開されています。
照明器具にこだわることで、空間のアクセントやシンボルとして用いることができます。
逆に、照明器具を極力シンプルなものにしたり、建築化照明にすることで、存在を消しつつ柔らかですっきりとした照明演出ができます。
注文住宅は、いろいろと決めることが多く大変ですが、ぜひ照明器具のデザインまでこだわった計画をしてみてください。
6.予算を検討する
照明器具の検討は、家づくりの計画の中でも終盤に行われます。
そのため、後回しにされ、予算が割り当てられず、こだわった計画ができないケースも多々あります。
早い段階で計画し、予算オーバーによって思い通りの照明が計画できない!なんてことにならないように気をつけましょう。
理想としては、間取りを検討する段階から、どのような照明を取り付けたいか合わせて検討して、だいたいの予算を見出しておくことです。
早い段階で検討することは難しいかもしれませんが、こだわりたい部分があれば、設計士にその旨を伝え、一般的な照明計画よりも予算を多めに割り当ててもらっておくと安心ですよ。
照明器具によって全体の印象が大きく影響されるので慎重に選びましょう!
照明器具を選ぶ際に知っておきたい基礎知識や、選び方のポイントについてお伝えしました。
照明器具は、今や住まいを照らすだけのものではなくなりました。
灯りとして人々の生活に便利に寄り添い、作業や時間に合わせた気分の切り替えなどの役割も担っているのです。
照明器具選びは、ぜひ積極的に便利な機能を取り入れてみてください。
毎日の生活が楽しくなるような計画ができるといいですね。
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◆ 執筆者プロフィール ◆

ー 佐藤結伽 ー
2級建築士。
2人娘の育児にも奮闘中。
最近、自邸の建設をし
注文住宅を購入する事の素晴らしさと、大変さを身をもって経験した。
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