◆家づくりのコラム:照明計画について
私たちの暮らしに欠かせない「灯り」の計画は、家づくりの際に後回しにされがちな部分です。
日本の住宅で、照明は「一部屋にとりあえず一個」と設置されることが多いです。
毎日使うものなので、「こうすればよかった」と後悔を感じることが多い部分でもあります。
この記事では、そもそも照明計画とは何なのか?ということから、照明計画の3つのポイントについてお伝えします。
照明計画について理解を深め、暮らしを便利に明るく照らす計画を行いましょう!
照明計画とは?
「照明計画」とは、住まいに欠かせない灯りである「照明器具」を設置するための計画のことです。
照明計画が十分にできていない住宅では、一部屋にとりあえずその部屋に合った明るさの照明を一つ計画されがちです。
明るさの感じ方や、必要な明るさは、部屋を使う人の年齢や、行う作業、動作によって異なります。
いろいろなことを想定して、その空間に暮らす人に適した照明を計画することが大切なのです。
照明計画の手順
注文住宅づくりでは、実際にどのように照明を計画するか、手順を確認しましょう。
■ 家と照明計画のコンセプトを考える
「家を建てよう!」と決めた際に、その家と照明をどのような雰囲気にしたいか考えます。
例えば、「洋館のように上品な感じにしたい」「シンプルで洗練された感じにしたい」「個性的で目にとまる家にしたい」「山小屋のような静かなイメージ」「温かみのある感じにしたい」などです。
家づくりと照明計画のコンセプトを決めておくと、方向性が定まりますので、器具選びなどで迷った際に判断しやすくなります。
■ 配置する
間取りが決まったら、どの部屋にどのような照明器具を設置するか。配置を検討します。
照明器具には、光の色や、広がり方、明るさなど、それぞれ違った機能性があります。
そのため、この時点で照明メーカーのショウルームに足を運んだり、照明デザイナーに依頼するなどして、照明器具のタイプを決めておきましょう。
間取りが完成した時点で、だいたいの器具を決めておくと、工事見積にも具体的な金額を算入できますので、予算が組みやすくなります。
■ 照明器具を選ぶ
工事見積がまとまったら、予算と合わせて具体的な照明器具を決めます。
カタログや、照明のイメージ図、ショウルームなどで選ぶのが一般的です。
光の広がり方など、イメージしづらい部分なのでCGやイラストなどで可視化してもらい、確認できるといいですね。
■ 現場で検討
工事が進み、上棟が済むと、電気配線工事が行われます。
その際に、現場で照明器具の具体的な位置を検討しましょう。
図面で位置は決められますが、実際に建ち上がった姿を見ると、図面上のイメージと異なることもありますので、現場で位置を決めることは完成後の後悔や間違いの防止にもなります。
この時点で照明器具の追加、変更がある場合は、工事完成後に清算となりますが、都度見積もりを出してもらうと安心です。
その後は、工事が進み、完成するまで楽しみに待ちつつ、気になる点や「やっぱりこうした方がいいのでは?」と思う点は遠慮せず都度設計士や現場監督へ問い合わせましょう。
照明計画の方法
照明計画は、必要な明るさの検討や、照明に関する知識、インテリアのコーディネートなど、専門的な知識が必要な部分です。
適格な照明計画の方法として、設計士・照明メーカーに計画を依頼する方法と、照明デザイナーに計画を依頼する方法があります。
それぞれの特徴を確認して、自身の家づくりに適した選択をしましょう。
■ 設計士・照明メーカーの照明計画の特徴
- 設計士と照明メーカー担当者が提案する照明計画を考える
- 照明メーカーの自社の商品から、要望や空間に合った計画が提案される
- 平面図ベースのプレゼンテーション図で提案される
- 無料で依頼できる
- 照明メーカーのプレゼンテーション通りにしなかったり、他メーカーの器具を使ったりしても罰則はない
- 多くの人が満足できる仕上がりになるが、細かい要望については満足できないことがある
■ 照明デザイナーの照明計画の特徴
- レイアウト図、イメージパース、プレゼンテーションボードなど、多くのツールで提案される
- 照明器具はデザイナーが選んだ複数のメーカーのものが選ばれる
- オーダーメイドの照明器具も依頼できる
- 間接照明や、埋め込み照明など、特殊な納まりの提案も依頼できる
- デザイン料や、コンサルティング料がかかる
同じ家でも、照明デザイナーがデザインした空間は、一味違ったものになります。
こだわり派の方は、予算も含めて一度照明デザイナーに照明計画を依頼する方法も検討してみるといいでしょう。
電球だけの照明でも部屋の雰囲気は大きく変わりますよ♪
照明計画で失敗しない3つのポイント
暮らしに寄り添い、後悔のない照明計画をするために、おさえておきたい3つのポイントをお伝えします。
1.年齢に合った計画にする
孫世代から祖父母世代まで、幅広い年齢の家族が暮らす住まいの場合、各年齢に応じた照明計画を行いましょう。
高齢者が快適に食事や読書を行う際に必要な明るさは、若者の約2倍。
廊下などを安全に移動するためには約5倍の明るさが必要になります。
祖父母が使う空間や、廊下は明るさを意識して計画し、共用部分などは、補助照明を設置するなどして、各年齢の心地よい空間づくりができるといいですね。
2.部屋に合った計画にする
ひとつの家の中でも、部屋によって行われる動作は異なります。
各部屋で行われる動作や過ごし方を想定して、それに合った照明計画をしましょう。
例えば、次のように想定することができます。
- 玄関…靴の脱ぎ履き、コーディネートのチェック、来客の対応
- キッチン…料理
- ユーティリティー…洗濯、事務作業
- リビング、ダイニング…食事、団らん、パーティー、勉強、読書、昼寝、くつろぎ、テレビ鑑賞、音楽鑑賞
- 廊下…歩行、家事、飾る
などです。
リビング・ダイニングなどの使用用途が多い部屋の場合、それぞれのシーンに合わせた照明に切り替えができる「ライティングコントローラー」の設置もおすすめです。
各部屋に調光器や、補助照明などを計画して、便利で快適に使いこなせる計画を行いましょう。
3.予算に入れる
家の計画が進み、間取りが完成すると、工事金額の見積もりを検討することになります。
大切なのは、この際に「照明設備」の金額も入れておくことです。
照明器具を後々自分で用意したり、この時点で「別途事項」にすると、予算が間に合わなくなり、妥協した照明計画になることも。
工事金額の見積もりで、照明器具の扱いが「別途事項」になっていないか確認し、必ずこの時点で予算に組み込むようにしましょう。
照明計画とは何なのか?ということから、照明計画のポイントについてお伝えしました。
照明計画は、行わなくても生きていくことができます。
しかし、こだわって照明を計画した住まいと、そうでない住まいは空間の心地よさが格段に違ったものになるのは、間違いありません。
居心地がよく、ホッとくつろげる家づくりのために、こだわって計画できるといいですね。
◆ 規格住宅ブランド「コノミハウス」についてのお知らせ
現在北村住建では、建築家と造る次世代規格住宅ブランド「コノミハウス」を開始しました。
これまでの実績を踏まえ、デザイン住宅や高級住宅のエッセンスをふんだんに取り入れた、拘りの規格住宅となっています。
今回コラムでご紹介した照明計画に関しても、建築家がお客様の希望に合わせて最適な提案をしてくれる為、建て売り住宅とは違う内容となっております。
よくある建て売り住宅では満足できない方や、ご予算に限りがあるがデザインにも拘りたい方にピッタリの内容となっていますので、マイホームをご検討のお客様は是非一度ホームページをご覧ください。
▶ 東京のデザイン住宅「コノミハウス」オフィシャルウェブサイトはこちらから
◆ 執筆者プロフィール ◆

ー 佐藤結伽 ー
2級建築士。
2人娘の育児にも奮闘中。
最近、自邸の建設をし
注文住宅を購入する事の素晴らしさと、大変さを身をもって経験した。