◆家づくりのコラム:住宅の神棚について
家の中で神さまを祀る神棚。
最近の新築で見かけることは少なくなりましたが、昔から私たちの暮らしに寄り添い、現代も様々なかたちで設置されています。
今回は神棚とは何なのか?ということから、神棚の種類、方角や位置など設置する時に気を付けたいポイントについてお伝えします。
神棚とは?
神棚とは、家で神霊を祀るために取り付ける棚のことで、小さな神社のような宮形のものからモダンなデザインなものまでいろいろな種類があります。
神棚は、日本で信仰されてきた神道の慣習のひとつで、家庭でも神様を祀ることができるように設置されます。
日本で一番尊いとされる「天照皇大神宮」のお札や、「氏神様」などの土地の神様を祀り、家族の無病息災を願うことが目的ですが、最近は簡素な神棚や、神社などでもらうお札を置くための「お札立て」なども人気を集めています。
一般的に、神棚には以下の神器とよばれる道具を供えます。
- 榊立て(さかきたて)…榊をさします
- 水玉、水器(みずたま、すいき)…水を入れます
- 皿(かわらけ)…米と塩を入れます
この3点は最低限供え、このほかに余裕があれば以下のものを置きます。
- 神鏡具(しんぐ)と呼ばれるものを置いて神様を祀ります。
- 榊鏡(しんきょう)…神棚の扉の前に置きます。神様が憑依するものとされています
- とっくり…お酒を入れます
- 燭台…ろうそくを立てます
- 灯籠(とうろう)…夕方~就寝前まであかりを灯します
- 御簾(みす)…神棚の中が露わにならないようにするための目隠しです
- 神前幕(しんぜんまく)…神聖な神棚と部屋を分けるための役割があります
- しめ縄…神聖な神棚と部屋を分けるための役割があります
- 金幣(きんぺい)…棒の先端に金銀の紙垂をはさんだものです
神棚にお供えするものや置くものをお伝えしましたが、大切なのは全てをお供えすることではなく、神様を大切に思う気持ちとされています。
神棚のスペースや毎日の参拝など無理なくお供えできるといいですね。
神棚の種類
神棚にはいろいろな種類があります。
家の広さや予算、お手持ちのお札の数や大きさなどに合わせて適したものを設置しましょう。
神棚の種類には、主に以下のものがあります。
- 七社造り・五社造り…7枚扉・5枚扉のお宮で、豪華な印象です。オフィスやお店などに適したサイズです。
- 三社造り…住宅において最も一般的な3枚扉のお宮です。
- 一社造り…1枚扉のお宮で、省スペースな場所に適しています。
- 箱宮…お宮が箱に囲われていて、ホコリや汚れがつきにくいタイプです。
- モダンタイプ…現代のインテリアに合うタイプの神棚です。お宮などがなく、お札と神器を置くスペースがあり、コンパクトなものが多いです。
- お札立て…お札のみを置くタイプのもので、壁掛け型や置き型があります。
神棚を設置する際に気を付けたいポイント
神棚は、どこにでも設置していいわけではありません。
次の条件に当てはまる、神棚を設置するにふさわしい場所を選んで計画しましょう。
① 明るくて清潔
よく日が差し、風通しの良い清潔な部屋を選びましょう。清潔ということで、キッチンやトイレや洗面所などの水回りは避けることが望ましいです。
② 家族が集まる部屋
リビングなどの家族が集まる部屋が好ましいです。
寝室や個室など、使う人が限られる部屋は避けましょう。
③ 客人を通す部屋
多くの人に参拝してもらうために、お客さんが入る部屋も好ましいとされています。
④ 神棚の正面が南か東をむく
明るさの象徴である南向きか、日が昇る方角である東向きに設置しましょう。
⑤ 神棚が置かれる場所の上下を人が歩かない
基本的に上下に階がなく、神棚の上を人が歩くことがない場所に設置することが好ましいですが、最近の住宅事情では難しい場合があります。
2階建ての1階部分などで、神棚の上に階ができてしまう場合には「雲」もしくは「天」と書いた紙を貼ることで「この上には何もない」という意味になります。
⑥ 仏壇と向い合せにならない
神仏習合の日本では、神棚と仏壇が同じ部屋でも問題はありません。
しかし、向い合うことは好ましくないとされていますので、避けましょう。
神棚一つで部屋の雰囲気が変わります!
神棚とは何なのか?ということから、神棚の種類、方角や位置など設置する時に気を付けたいポイントについてお伝えしました。
神棚がある生活は、私たちを取り巻く様々なことに、感謝の気持ちを思い出すきっかけになり、心にゆとりを与えてくれるとされています。
住まいのスペースや予算、家族の気持ちなどを考慮して適した神棚を選べるといいですね。