◆家づくりのコラム:階段について
敷地の広さが十分に確保しにくい日本の住宅は、どうしても2階建て以上の多層になってしまうことが多いです。
その際に階と階を繋ぐ、大切な役割を担うのが階段ですね。
今回は、階段について、基本的な部材の名称や形状、外観デザインについてお伝えします。
階段の部材名称
階段を構成している部材には名称があり、オーダーメイドの注文住宅の場合には、ひとつひとつの素材や色、形状にこだわることができます。
こだわりの階段を実現させるために、基本的な名称について把握しておきましょう。
- 踏み板
昇り降りを行う際に、足で踏む板のことをいい、この踏み板の奥行きを踏み面(ふみづら)と言います。
踏み板の踏み面寸法は広いほど安全に昇降しやすくなりますが、その分スペースも必要になるため、安全面とのバランスを考えた設計が大切で、建築基準法では15cm以上の幅を確保することが決められています。
- 蹴込み板(けこみいた)
踏み板に対して垂直に設置された板のことです。
蹴込み板がない階段(ストリップ階段・スケルトン階段)は開放的な雰囲気を演出することができ、蹴込み板があることで階段の下部を隠し、下部のスペースを収納やトイレなどとして活用することができます。
- 側桁(がわげた)
踏板の両側に設置される板のことで、踏み板を支える役割があります。
階段の傾斜に沿って斜め形状で納められる場合と、階段の形状に合わせて段々形状になる場合があります(幅木納め)。
- 桁板(けたいた)
側桁を設置しない開放的な階段(ストリップ階段・スケルトン階段)の場合に、踏み板を支える役割を担う部材です。
桁板に設置される踏み板は、さらし踏み板という名称になります。
- 踊り場
階段の折り返し部分や折れ曲がり部分に設置される四角形状の段のことです。広くスペースを確保することで、階段の安全性を向上させることができます。
階段の基本形状は4種類
階段の形状は、間取りや設置できるスペースに合わせて、動線がより効率的になることを考えて設置されます。
階段の基本形状は4種類あり、それぞれ異なる特徴があります。
順番に確認しましょう。
直階段
1段目から到達階までを直線で結ぶ形状で、テッポウ階段とも呼ばれます。
次のような特徴があります。
- 階段自体の幅を抑え、スリムにまとめられる
- 家具の運搬がしやすい
- 階段下のスペースを広くとれるので収納やトイレなどに利用できる
- 万が一踏み外した場合に上から下まで落下する恐れがある
かね折れ階段
平面で見るとL字の形状の階段で、次のような特徴があります。
- 折れ曲がり部分に踊り場や斜めの角度の階段ができる
- 転がり落ちのリスクは比較的直階段よりも低い
- 階段下のスペースを広くとれるので収納やトイレなどに利用できる
折り返し階段
平面で見るとUの字形状で、イッテコイ階段とも呼ばれます。
次のような特徴があります。
- 折り返し部分に踊り場ができる
- 万が一踏み外した場合にも下まで転がり落ちない
- 家具を運搬する際、折り返し部分の通過が困難
- 設置スペースが最も必要
らせん階段
らせん状に各階を結ぶ階段で、次のような特徴があります。
- 設置スペースが少なく済む
- おしゃれな雰囲気がある
- 踏面の形状が三角形のようなかたちになるので昇り降りに注意が必要
- 家具の搬入・搬出が難しい
- 最も費用がかかる
階段の外観デザイン
階段の外観デザインは、基本的に2種類です。
順番にそれぞれの特徴を確認しましょう。
箱型階段
蹴込み板が設置され、階段の下部を見えなくした階段のことで、次のような特徴があります。
- 施工に比較的手間がかからない
- 既製品のラインナップが豊富
- 比較的コストが掛からない
- 階段下にホコリなどが行きにくい
- 階段下のスペースを収納やトイレなどに活用できる
- 隙間がないため安全
- 閉塞感がある
ストリップ階段・スケルトン階段
蹴込み板や側桁を設けないオープンな階段のことで、次のような特徴があります。
- おしゃれで個性的な雰囲気がある
- 開放感がある
- 比較的コストがかかる
- 階段下のスペースを収納やトイレにすることはできない
- 小さい子供や物などが隙間から落下する恐れがある
ストリップ階段・スケルトン階段はリビング階段や、玄関から見える部分の階段など、魅せる階段として設けられることが多いです。
階段を設置する場所や、部屋の広さ、開放感などに考慮してデザインを選べるといいですね。
陽の光を考えるとストリップ階段は魅力です♪
階段について、基本的な部材の名称や形状、外観デザインについてお伝えしました。
階段は、廊下の延長線上の通路として設けられるだけではなく、家のシンボル的な存在として間取りの中心に設けることで、より動線を効率的に、住まいを個性的に演出することができます。
毎日通る部分になりますので、通路としてだけではなく、細部までこだわった階段づくりができるといいですね。
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