◆家づくりのコラム:上棟式について
注文住宅の建設で、地鎮祭の次に行われる行事が上棟式です。
上棟式は、家づくりの節目の行事で、一昔前まではやるのが常識とされていましたが、近年は行われないことも多いです。
まずは上棟式が何なのかということを知ってから判断したいですね。
この記事では、そもそも上棟式とは何なのか、上棟式の流れ、上棟式にかかる費用についてお伝えします。
そもそも上棟式とは何なのか?
上棟式とは、注文住宅建設の際に、棟上げと呼ばれる軸組みの組み立ての日に行われる祭祀のことです。
棟上・建前とも言い、目的としては、工事の安全・竣工後にその家に住む家族の幸せと繁栄、家が長く健全であることなどの無病息災を願うことを目的としています。
本来は神主を呼んで行われるものですが、略式化して神主を呼ばずに上棟式を行う場合も多く、その場合には、大工の棟梁などの工事関係者、住宅会社の関係者、施主とその家族が集まり、工事を行う人たちをねぎらい、工事の安全を皆で願い、上棟を喜び合う場となっています。
上棟式流れ
略式の上棟式を行う場合の一日の流れをお伝えします。
- 可能な場合午前10時の休憩時間にお茶出し(投げもちを行う場合、近隣に挨拶をしておく)
- 必要に応じて、昼食を差し入れる
- 棟上げができてから、幣串を棟の位置に固定する
- 祭壇・食事・宴席の準備
- 作業終了後、上棟式開始(午後3時~5時くらい)
- 棟梁が祭壇をお祓いする
- 全員で祭壇に向かって二礼・二拍手・一礼を行ってお参りする
- 施主と家族で建物の四方の柱に酒・塩・米をまいて清める
- 投げもちを行う場合、2階から建物の四方に向かって餅などを投げる
- 施主の挨拶
- 乾杯・歓談
- 歓談中、棟梁から順番にご祝儀を渡す
- 手締め
- 引き出物を渡して解散
最近は、車で現場に入る人が多いため、飲酒する場合は少なく、その場の雰囲気にもよりますが、歓談は30分~1時間ほどで手締めとなります。
上棟時に棟木に取り付ける幣串。上棟式の必需品です!
上棟式にかかる費用は?
上棟式にかかる費用は10万~30万円程度です。
神主を呼んで行う場合、一般的に上棟式では祝儀を用意する必要はありません。
順番に内訳を確認していきましょう。
- お清めに使う米・お神酒・塩 合計3,000円~
米(桝一杯程度 自宅にあるもの)、神酒(1升ビン)、塩(桝一杯程度 自宅にあるもの)
- お供え 合計5,000~10,000円程度
尾頭付きの鯛、 海の幸3種(昆布、スルメ、ワカメ等)、 山のもの3種(キャベツ、大根、人参、胡瓜、ナス等その時の旬のもの)、旬の果実3種程度
- 料理、お菓子、お茶 10,000円~
宴会でいただくお茶、料理、お菓子です。飲酒が行われない宴席の場合、お菓子だけでも十分な場合もありますが、簡単な煮物やおつまみなどがあると、よりねぎらいの気持ちが伝わります。
- ご祝儀 合計10万円程度
一般的な価格の相場では、手元と建設会社関係者は一律3千円~1万円程度、棟梁1~5万円程度、鳶頭・現場代理人・設計担当者で5千~3万円程度を包んで渡します。
- 引き出物 ひとつ1,000~5,000円
清酒、紅白餅、お赤飯をセットにするのが一般的で、その場合、費用は2,000~3,000円程度です。
近年では、予算1000円程度でも、施主の人柄が感じられる品物を選んで渡すと喜ばれます。
上棟式の費用は、出席する職人の人数によってかなり左右します。
住宅の規模にもよりますが、一般的には10人程度となりますので、人数に応じて予め予算を立てて用意しましょう。
上棟式とは何なのかということから、上棟式の流れ、上棟式にかかる費用についてお伝えしました。
上棟式の目的は、ねぎらいの気持ちを伝えることです。
無理のない範囲で、思いの伝わる上棟式ができるといいですね。
また、予算の関係や都合がつかず、上棟式が行えない場合でも、工事は問題なく進んで行きます。
上棟式ができない場合は、ぜひ時間を見つけて家づくりの現場に足を運んでください。
それだけでねぎらいの気持ちが伝わりますよ。
◆ 執筆者プロフィール ◆

ー 佐藤結伽 ー
2級建築士。
2人娘の育児にも奮闘中。
最近、自邸の建設をし
注文住宅を購入する事の素晴らしさと、大変さを身をもって経験した。
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