◆家づくりのコラム:防火地域での木造建築のメリットについて
防火地域への新築というと、S造やRC造といった耐火性能に優れた構造しか建てられないと思われる方は多いです。
防火地域でも、木造建築での新築は可能なのです。
可能と言っても、木造建築は火災に弱いイメージがあるので、不安に感じる方も多いと思います。
今回は、防火地域で木造建築を建てるメリットについてお伝えします。
防火地域とは?
日本では、万が一火災が起きても周りに燃え移らないように、建物に一定の防火性能を持たせる決まりがあります。
その決まりは地域によって厳しさが異なり、4段階に分けられています。
防火地域とは、その中でも最も制限の厳しい地域で、一般的な木造住宅は建てることができません。
一般的に駅の周辺など建物が密集し、都市の機能部となる部分が防火地域に指定されます。
防火地域の建物への制限は、以下のようになっています。
- 建てようとする建築物は、最低限準耐火建築物としなくてはいけない
- 3階建以上の建築物は、耐火建築物とする(地階も含む)
- 延面積が100m2を超える建築物は、耐火建築物とする
防火地域には耐火建築物か準耐火建築物しか建てられない、厳しい制限が設けられていることがわかります
防火地域で木造を建てることは可能?
防火地域での新築が許されている耐火建築物とは、日本の建築物の中でも、厳しい基準をクリアした最も燃えにくい建物のことです。
一般的には鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建築物ですが、国土交通大臣の認定を受けた特殊な木造建築も耐火建築物として認められています。
つまり、以下の2つの方法であれば、防火地域で木造を建てることは可能なのです。
- 延面積が100㎡を超えない一般的な木造建築
- 国土交通大臣の認定を受けた特殊な木造建築
木造で耐火建築物を作れる建設会社はかなり絞られます。
防火地域への建築ということだけで、施工ができない建築会社もあるほどですから。
防火地域で100㎡を超える木造建築を建てるということは、一定の経験や知識や技術力が必要になるのです。
国土交通大臣の認定を受けた特殊な木造建築物というのは、どのようなものなのか・・・ということは今後お伝えします。
防火地域で、一般的な木造住宅が建てられる範囲は100㎡を超えない広さですが、100㎡の建築物の広さは、だいたい30坪程度です。
核家族が暮らす住宅の場合、狭すぎず広すぎない、ちょうど良い広さです。
防火地域で木造建築を考える場合、ぎりぎり100㎡を超えない範囲での計画も検討してみるのもひとつの手段です。
建築面積を考慮に入れた計画も必要です!
防火地域で木造住宅を建てるメリットとは?
防火地域で木造建築を建てることが可能であることはお伝えしましたが、木造建築を建てるメリットはあるのでしょうか。
具体的には、以下のことがメリットとして挙げられます。
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RC造や鉄骨造の建築物と比べて価格が安い
RC造や鉄骨造の建築物に比べてコストメリットがあります。
工期も最も短いです。
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狭小地でも建築することができる
RC造や鉄骨造の建築で必要不可欠な大型の重機が入れない場所でも、木造建築なら建設することができますし、結果的にコストを抑えて新築をすることができます。
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万が一火災が起きた場合、鉄骨造よりも崩れにくい
燃えにくいイメージのある鉄骨造ですが、いざ火災が起きてしまった場合、鉄は約550℃を境に一気に強度が低くなります。
火災が起きても、長く強度を保つことができるのは木造建築で、消火活動も比較的行いやすいと言われています。
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耐火建築物なら火災保険の料金は高くならない
木造住宅は火災保険料が高額になるイメージがありますが、耐火性能が高いと認められた場合は一般的な木造住宅よりも安くなります。
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設計の自由度が高い
RC造や鉄骨造に比べて、木造耐火建築物は設計の自由度が高いのも特徴です。
将来的な間取り変更やリフォームも行いやすくなります。
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環境にやさしい
主な材料が木である木造建築物は、RC造や鉄骨造に比べて最も環境にやさしい構造です。
木造にする事で沢山のメリットがある事が分かりますね♪
コストメリットから環境配慮まで含めて、防火地域でも木造建築は大変メリットの大きい構造であることがわかりますね。
防火地域に新築を検討中の方は、従来の構造にとらわれず、ぜひ木造の耐火建築も視野にご検討ください。
◆ 執筆者プロフィール ◆

ー 佐藤結伽 ー
2級建築士。
2人娘の育児にも奮闘中。
最近、自邸の建設をし
注文住宅を購入する事の素晴らしさと、大変さを身をもって経験した。