◆家づくりのコラム:室内建具について
室内の開口部には、一般的に室内建具を設置します。
室内建具とは、室内に設置するドアや戸のことを言います。
室内建具は、空間を仕切り、音や光を遮り、家族間のプライバシーを確保し、過ごしやすい家づくりにおいて必要不可欠なものになります。
過ごしやすい家づくりのためには、室内建具の種類や特徴を正しく理解した上でプランに取り入れることが大切です。
今回は、そんな室内建具の種類と基本的な特徴についてお伝えします。
造作建具と既製品
室内建具は、造作建具と既製品の大きく分けて2つの種類に分けられます。
まずは、2つの違いについて確認してみましょう。
造作建具とは、形状や面材、デザインや金具等を組み合わせて、オーダーメイドで作成するオリジナルの建具のことを言います。
個性的で、存在感があり、オリジナルなため愛着がわきやすいですが、既製品に比べて高価で、メンテナンスが難しい場合があります。
既製品の建具とは、建材メーカーから発売されている建具のことを言います。
デザインのバリエーションや色柄が豊富で、特別な寸法の対応も可能ですので、多くの方の希望にも対応できます。
その多くがシート仕上げで、清掃性が良いことも特徴です。
只、造作建具と比べて、どうしても重厚感は劣ります。
こだわりや、予算面を考慮した上で選択したいですね。
デザインや質感が魅力の造作建具
室内建具の種類と特徴
次に、室内建具の開き方などの種類と特徴についてお伝えします。
・開き戸
一般的に「ドア」と呼ばれるタイプの室内建具です。
1枚の扉を開閉する片開き扉や、方開き扉に幅の狭い扉を組み合わせた親子扉、2枚のドアを開閉する両開き扉があります。
プランの際には扉の開閉部分のスペースを考慮し、扉の向こう側にいる人や、扉同士がぶつからないように計画することが大切です。
気密性が高く、防音性能に優れており、室内建具の中でも最もリーズナブルな扉形式です。
・引き戸
開き戸の開閉スペースが確保できない場合や、開閉スペースが邪魔になる場合、主に開け放して使いたい場合や、バリアフリーに配慮した住宅等に便利に使うことができるのが引き戸です。
1枚の戸をスライドさせて開閉する片引き戸や、2枚の引き戸をスライドさせて開閉する引き違い戸、2枚の扉を引き分けて開閉する引き分け戸等があります。
扉の枚数が増えると、3枚引き違い戸、4枚引き違い戸・・・というように名前も変化します。
広い空間に設置することで、必要に応じて間仕切りとして使うこともできます。
間仕切りの場合、木製はもちろんですが、光を通すアクリルパネルの扉も人気です。
また、力が弱い方や、車イスの方でも操作がしやすいため、可能な限り開口部を引き戸にして、将来に備える方も増えています。
手軽に設置できるアウトセット引戸
・折れ戸
幅の狭い連結させた扉を、折りたたむ様にして開閉するタイプの扉です。
開閉スペースが開き戸の約1/3で済むため、収納扉や狭い空間の扉として使われることが多いです。
収納扉の場合、取っ手を付けずに表面をすっきりとさせるデザインが人気です。
折り畳むとコンパクトになるため、広い空間の間仕切りとしても使われます。
既製品の場合、便利に使える機能性も加えることができます。
トイレや、趣味の音楽部屋等に用いることができる防音扉や、通風や換気が気になる部屋やクローゼットに用いられるルーバー扉、トイレや洗面室の使用を確認できる小さな明り窓や表示錠がついた扉や、ペットのためのくぐり戸がついた扉等です。
日常のストレスを軽減させるために、便利な機能はぜひ活用したいですね。
室内の建具は、空間を仕切るだけではなく、冷暖房の効率をアップさせる効果もあります。
間仕切りが不要だと思われる広い空間でも、普段の暮らし方を見直した上で、空調の効率も考慮した上で検討できるといいですね。
空間の統一感やインテリアにも考慮して、暮らしをより便利できるように室内建具を計画しましょう。
◆ 執筆者プロフィール ◆

ー 佐藤結伽 ー
2級建築士。
2人娘の育児にも奮闘中。
最近、自邸の建設をし
注文住宅を購入する事の素晴らしさと、大変さを身をもって経験した。
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