◆家づくりのコラム:タイル施工について
タイル施工とは、住宅における仕上げ工事のひとつです。
他の仕上げ工事と比較すると高価な工事ですが、その分タイルを施した部分はメンテナンスの手間が少なく済み、独特の高級感と存在感の演出ができます。
適した場所に適したタイルを貼ることで、タイルの機能性を充分に活かすこともでき、住宅はより暮らしやすいものになりますよ。
近年はDIYでも注目されているタイル工事ですが、家づくりで使われる主なタイルとその特徴についてお伝えします。
住宅に使われる基本的なタイルの種類
一般的な住宅に使われるタイルの種類を確認してみましょう。
まずは、タイルの主体である素地(きじ)の種類からお伝えします。
・磁器質(Ⅰ類)
素地は硬く、透明性があり、緻密です。
叩くと金属製の澄んだ音がするのも特徴です。
吸水率3%以下のもので、玄関の床や内外装の壁、内装等幅広く使われます。
凍害防止用の仕上げとしても活用されます。
・せっ器質(Ⅱ類)
素地は硬く、吸水率が10%以下のもののことを言います。
磁器質と同じく、内装・外装・床の全てで幅広く用いられます。
凍害防止用の仕上げとしても活用されます。
・陶器質(Ⅲ類)
素地は多孔質で、吸水率が50%以下のもののことを言います。
叩くと濁った音がするのもの特長です。
薬品に強く、清掃性に優れていることから内装の特に水廻りで使用されています。
次に、タイルの表面に釉薬が施されているか、そうでないかによる分類を確認してみましょう。
・施釉タイル
表面の光沢と、水分や汚れの侵入を防ぐために素地に釉薬を施して焼成したタイルのことです。
清掃しやすく、汚れにくく、色彩のバリエーションが豊富なことから住宅の内外装の床や天井に広く使われます。
表面に光沢の無い仕上がりになるマット釉も存在します。
・無釉タイル
釉薬を施さず、素地本来の色味や顔料を使って色をつけたタイルのことです。
施釉タイルよりも滑りにくく、耐摩性に優れるのも特徴です。
そのため、公共施設や公園、歩道等の床仕上げに用いられることが多いです。
この他にも、以下のタイルが住宅で広く用いられます。
・モザイクタイル
1枚の面積が50㎠以下のものを言い、繊細な仕上がりが特徴で、張り合わせによって絵や図柄を表現することもできます。
目地の面積が多くなるため、滑り止め効果があることや、水勾配の施工がしやすいことから、水廻りの床に主に使われてきました。
最近は、装飾の意味も兼ねて壁にも広く使われるようになっています。
浴室などを彩るモザイクタイルは水まわり素敵に演出してくれます♪
・スクラッチタイル
押出成形の際に、針やくしのようなものでタイルの表面を引っかくようにして、表面に細かい溝模様のあるタイルです。
無釉タイルで光沢がなく、重厚感を演出できるため、建物の外装に用いられます。
・テッセラタイル
割り肌と言って、石を割った雰囲気のタイルのことを言います。
製作に手間がかかることから高級で、重厚感があります。
主に建物の外装に用いられます。
・テラコッタタイル
イタリア語で焼いた土を意味するテラコッタは、素焼きの風合いを活かしたタイルのことを言います。
暖色系で温かみがあり、空気孔が多いことから床暖房にも適しているため、床仕上げとしてよく用いられます。
・レンガタイル
ブリックタイルとも言い、レンガを模した軽量タイルや、レンガでできたタイルを言います。
古くから人類に寄り添って発展し、建築に使われてきたレンガは独特の温かみがあり、現在は様々な色合いのバリエーションがあることから絶大な人気を誇っています。
内外装共に壁仕上げとして使われます。
・石調タイル
大理石などの天然石の風合いを模して作られたタイルで、石材の美しさを再現しながらメンテナンスがしやすく、扱いやすいことが特徴です。
タイルならキッチン背面のアクセントにピッタリです!
比較的高級な材料に位置づけられているタイルですが、床暖房に適しており、高い耐久性、防火性、耐摩性、清掃性、意匠性等のタイルの持つ機能性から住宅で広く使われています。
予算と合わせて、タイルを使った高級感のある素敵な住まいづくりができるといいですね。
◆ 執筆者プロフィール ◆

ー 佐藤結伽 ー
2級建築士。
2人娘の育児にも奮闘中。
最近、自邸の建設をし
注文住宅を購入する事の素晴らしさと、大変さを身をもって経験した。
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