◆家づくりのコラム:内装について(床材編)
注文住宅づくりでは、たくさんのこだわりを形にすることになります。
構造体や断熱材はどんなにこだわっても、家が完成するともう見ることができなくなってしまいますが、完成後も常に見ることができるのが、内装の仕上げです。
内装の仕上げとは、クロスやフローリングなど床・壁・天井の仕上げのことを言います。
完成後に見えなくなる構造体ももちろん大切ですが、内装の仕上げは目に見える分、非常にこだわり甲斐のある部分とも言えます。
今回は、そんな内装の仕上げについて住宅の床に使われる内装材の基本的な種類とその特徴をお伝えします。
フローリング
フローリングには、木材を加工してフローリングの形状にした無垢材と、合板を重ねて表面に化粧シートや、薄い木目材を張った複合フローリングがあります。
無垢材のフローリングの特徴は以下の通りです。
- 樹種の特徴が楽しめる
- 調湿性に優れる
- 使うほど変化する色合いが楽しめる
- 温かみがある
- 肌触りが良い
- 割れや反り等の変形が起きやすい
- 傷がつきやすい
- 汚れがしみこみやすい
自然の優しい風合いは無垢材に勝るものはありません!
複合フローリングの特徴は、以下の通りです。
- 壁や建具とコーディネートしやすい
- 割れや反りなどの変形がおきにくい
- 比較的安価
- 防水や防音、防傷などの機能性が高いものがある
- 掃除がしやすい
- 調湿効果はない
- 使う程劣化して行く(シート加工の場合)
無垢材よりも形状変化が起きにくい単板を貼った複合フローリングも人気です♪
フローリングは大工工事で施工されます。
それぞれの特徴をよく理解した上で暮らしにあったフローリングを選びたいですね。
クッションフロアシート(CFシート、長尺シート)
塩化ビニル樹脂製のものにクッション性を持たせた床材です。
厚みは1.8mm~3.5mmのものが住宅の床材として一般的で、比較的安価ではありますが、フローリングのような木目調や、タイルや石張りのような石目調などをリアルに表現することができます。
衝撃の吸収性、遮音性、防水性に優れるため、集合住宅の床や水廻りによく使用されます。
清掃性が良いのも特徴として挙げられます。
表面が柔らかいため、足腰への負担軽減にもなりますが、傷がつきやすく、重い家具などを置くとへこみが戻らなくなることもありますので注意が必要です。
フロアタイル
クッションフロアシートよりも高度があり、タイル状に張り合わせて施工する硬質塩化ビニル製の床材です。
フローリングのような木目調や、タイルや石張りのような石目調などをCFシートよりリアルに表現することができます。
丈夫で清掃性がよく、高級感があるため店舗などでよく使用されますが、住宅では、水廻りや玄関の床材として使用されます。
コルクタイル
コルク樫の樹皮を圧縮、成型し、タイル形状にした床材です。
耐久性、吸音性、耐水性、断熱性、防炎性、弾力性に優れ、滑りにくい特徴があるとても優れた床材と言えます。
これらの特徴から、幼稚園や保育園、老人福祉施設などでも使われます。
色合いはコルクの風合いを活かしたブラウン系に絞られます。
日焼けしやすいことも特徴のひとつですので、日当たりの良すぎる部屋などで使用する際は注意が必要です。
カーペット
ウールやアクリルなどの繊維を素材とした床材です。
ループタイプとカットタイプが代表的で、断熱性、防音性に優れ、足触りが良く、色彩やデザインのバリエーションが豊富で、高価なものはホテルのような高級感を演出することができます。
ただし、汚れが染み込みやすく、ダニが発生する恐れがあるので、小まめな清掃とメンテナンスが必要になります。
汚れた部分を交換しやすいカーペットタイルもDIYで人気を集めています。
タイル
住宅の床材として用いられるタイルは、主に磁気質のものが用いられます。
耐水性に優れ、汚れが付きにくく、傷に強く、清掃性に優れます。
タイル自体はとても優秀な素材なのですが、タイルに必要不可欠な目地部分が比較的汚れやすいので、防水性を持たせた素材を選ぶことや、小まめに清掃を行うことがおすすめです。
とても固い床材なので、転倒した際のケガや、長時間立ち仕事を行う部屋では、足腰への負担が心配事項として挙げられます。家族の状況を考慮して選定したいですね。
夏場はひんやりとして気持ちの良い床材ですが、冬は氷のような冷たさになることがあるので、床暖房などの寒さ対策を必ず計画しましょう。
高価な床材なので、他の床材とは比較にならない高級感を演出できることが最大のメリットと言えます。
畳
芯材になる板状のスポンジや、断熱材などの表面にイグサを編み込んだ日本で昔から親しまれてきた床材です。
適度な弾力性、緩衝性、調湿性、断熱性、耐久性に優れ、優しい香りがするのも特徴のひとつです。住宅の狭小化から、和室や客間を作ることが減りましたが、その分座って過ごしたいリビングの一角や、寝室などの一部にデザイン性を持たせるために用いられることも多くなっています。
傷や汚れがついても、表面を張り替えることで再度使用するこができるとてもエコな床材と言えます。
住宅の床に使われる内装材について解説致しました。
各家庭の要望や、家族の状況に応じて適した床材を選ぶことで、住宅はより快適に住みやすいものになります。
それぞれの特徴をよく理解した上で住宅の床材を選びたいですね。
◆ 執筆者プロフィール ◆

ー 佐藤結伽 ー
2級建築士。
2人娘の育児にも奮闘中。
最近、自邸の建設をし
注文住宅を購入する事の素晴らしさと、大変さを身をもって経験した。