◆家づくりのコラム:内装について(壁・天井編)
様々なこだわりを持って行う注文住宅づくりですが、軸組みや、断熱材などはどんなにこだわっても、家が完成するともう見ることができなくなってしまいますね。
完成後も常に見ることができるのが、内装の仕上げです。
内装の仕上げとは、クロス等の床・壁・天井の仕上げのことを言います。
見えなくなる構造体ももちろん大切ですが、内装の仕上げは目に見える分、非常にこだわり甲斐のある部分とも言えます。
今回は、そんな内装の仕上げについて壁・天井に使われる内装材の基本的な種類とその特徴をお伝えします。
クロス
壁や天井に使われる仕上げ材の中で最も安価で、施工性も良いことから日本の住宅に広く普及しています。
・ビニールクロス
ビニールシートと紙製の裏打ち材を組み合わせて作られています。
価格が安く、色柄やデザインが豊富なことや、施工がしやすいこと、耐久性に優れること、清掃しやすいことから住宅の内装材として現在最も普及しています。
様々な機能性を持たせたものも存在します。
デメリットは結露しやすいことです。空調や住宅の気密性と上手く組み合わせないとすぐに継ぎ目が目立ったり、はがれてしまうことがあります。
また、化学物質を使用しているため、アレルギー体質で敏感な方が使用する場合は注意が必要です。
・紙クロス
洋紙を原紙とし、その上にプリントやエンボス加工をしたものです。
色柄も比較的豊富で、欧米では最も一般的な内装材として知られています。
そのため、輸入品も多く、海外の住宅のような雰囲気を演出することができますし、海外の人のように自分たちで簡単にペンキを塗ることもできます。
化学物質が使われていないものは、アレルギーが気になる方でも安心して使えます。
汚れが付きやすく清掃が難しいことや、傷がつきやすいことを充分理解した上で採用しましょう。
・布クロス
綿や麻や絹等の布を素材とし、紙を裏打ちして作られています。
平織りや編物、不織布など、お好みに合わせて選ぶことができます。
価格は比較的高価ですが、ビニールクロスや紙クロスには無い重厚感と高級感があります
擦れに強く、自然素材のため調湿効果が期待できます。
ただし、美しく仕上げるためには一定の技術力が必要なため、施工に時間がかかることや、汚れが落ちにくいことも理解して採用する必要があります。
紙やビニールと異なり布の質感が優しくナチュラルスタイルを演出してくれます♪
厚みの無いビニールクロスや、紙クロス、布クロスを選択する場合、下地の凹凸がそのまま表面に現れてしまう恐れがあるので、下地の処理がとても重要になってきます。
又、下地処理の手間が通常よりも掛かり、金額もその分高くなる可能性もありますので事前に施工会社へ確認しておくことも必要でしょう。
特にリフォームの場合は、注意して仕上げ材を選びたいですね。
塗り壁
左官職人によって仕上げられる内装仕上げで、調湿性、防火性、防音性に優れています。
クロスに比べて施工費が高く、工期もかかりますが、機能性や優しい質感から人気を集めています。
・漆喰壁
消石灰に砂や糊を混ぜて作られており、滑らかな仕上げが特徴の塗壁です。
耐久性、調湿性、防火性、断熱性、防水性に優れ、水廻りにも使われます。
原料が白色ですが、顔料を混ぜることで色を変えることもできます。
・プラスター壁
粉末状の鉱物と水を混ぜて作られたものや、石膏が主成分の石膏プラスター等があります。
比較的安価ながら、漆喰のような滑らかな質感を楽しむことができます。
耐久性、調湿性、断熱性、防火性に優れます。
・土壁
じゅらく壁、京壁とも呼ばれ、土を原料とした塗り材を使用し、鏝の当て方によって様々な質感を造ることができます。
調質性、防火性、防音性に優れ、クロスに比べて耐久性も期待できますが、地震によるひび割れは入りやすいです。掃除がしにくく、ひび割れ等の補修がしにくいことも特徴ですので、理解した上で使いたいですね。
・珪藻土
プランクトンの死骸が蓄積された土の層から採取された土で作られた仕上げ材です。
調湿性、断熱性に優れ、自然素材ブームとさまざまな商品展開から人気の塗り壁材となっていますが、商品展開がされすぎてしまい、最近では化学製品が混ざったものも存在します。
本当に自然素材で作られているかは使用する前に原材料をチェックした方がいいでしょう。
少しの汚れであれば消しゴムで落とせるため、従来の塗り壁よりも清掃性に優れた特徴も持っています。
・木質壁
無垢材と合板があり、腰壁やアクセント壁として部分的に木質壁を取り入れる場合もあります。
無垢材の場合は、調湿性、断熱性、吸音性が期待できます。
主にスギやマツ、ヒノキ等の針葉樹が使われます。
湿度が高すぎる環境にすることで、反りなどの変形や、カビ、変色などの恐れがありますので、適宜メンテナンスをする必要があります。
それに対し合板は薄く加工された木材を張り合わせて出来ている事から、環境によっての変化が無垢材よりも起こりにくい特性があります。
代表的な木材としてシナ、ラーチ、ラワン等があり、同じ材料で張り合わされた共芯や、表裏だけに単板を張り合わせ内部にランバー材を用いたランバーコア等、使用する目的に合わせて使われています。
特にシナ合板に関しては、表面の美しさから建築家が手掛ける住宅等に好まれて使われる事が多い様です。
木目を強調し過ぎないシナ合板なら壁一面に貼っても爽やかな印象です!
・タイル壁
外壁にも使われ、耐久性に優れるタイルを内装材として貼り、仕上げる方法です。
耐久性、耐水性に優れ、水廻りに部分的に使われることが一般的です。
陶器質のタイルの場合、清掃性が良いですが、目地に汚れが染みこみ変色する恐れがあるので、汚れが付着した場合はすぐにふき取ることがおすすめです。
磁器質のタイルは高級感がありますので、居室でも使われます。
高級感はありますが、その分コストがかかります。
固いので、小さなお子さんがいる家庭では壁への衝突に充分配慮が必要です。
今回は壁、天井に使われる内装材について解説致しました。
各家庭の要望や、家族の状況に応じて適した内装材を選ぶことで、住宅はより快適に住みやすいものになります。
それぞれの特徴をよく理解した上で内装材を選びたいですね。
◆ 執筆者プロフィール ◆

ー 佐藤結伽 ー
2級建築士。
2人娘の育児にも奮闘中。
最近、自邸の建設をし
注文住宅を購入する事の素晴らしさと、大変さを身をもって経験した。